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選手を指導する岡山操山の平松利文監督(左)=2025年6月6日午後5時41分、岡山市中区、上山崎雅泰撮影
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 高校野球の育成と発展に尽くした指導者を表彰する「育成功労賞」に、岡山県内から岡山操山の平松利文監督(63)が選ばれた。監督・部長としての指導歴は計6校で通算約35年間。部員数が少なかったり、練習時間が短かったりする環境でも、粘り強いチームを作り上げてきた。

 倉敷市出身で、倉敷天城高では捕手。主将を務めた3年の夏の岡山大会は3回戦で敗退した。

 1浪後に進学した岡山大では、2年の夏に試合で左ひざを痛めた。復帰後は、肩の強さを買われて投手にコンバート。3年春から中国大学野球でエースとして出場した。

 岡山大大学院で2年間、教育学を学んだのちに1989年、児島第一(現・倉敷翔南)に赴任。20代ながら翌年には監督になった。その後は琴浦(現・倉敷鷲羽)、倉敷天城、邑久、倉敷青陵で監督や部長を歴任した。

 今でも記憶に残り、教訓とする試合がある。母校・倉敷天城監督時代の2003年の夏の岡山大会1回戦、津山との試合だ。3点リードした九回裏2死、代打に逆転サヨナラ満塁本塁打を打たれてしまった。

 「指導した中で一番強いチームだった。代打選手の振りを見て(打たれることはなく)大丈夫だろうと思った。隙があったと反省しています」

 監督としての夏の岡山大会での最高成績はベスト16。

 岡山操山では23年から指揮を執る。昨秋からは部員が足りなかったが、春に1年生が8人入部したことで、今年の夏も単独で出場する。

 夕方まで授業がある曜日は練習時間が短い。しかし少ない部員だからこそ、受けるノックや打撃の量を確保できる。メリットを生かした短期集中型だ。

 進学校を中心に指揮を執ってきたが「どの選手も長所を持っている」という信念がある。足が速い、守備は苦手でも打撃のセンスがある……。一つでも光るところがあれば、その部分を伸ばすように指導している。

 自身はシニアのソフトボールチームで現役だ。「自分でプレーして気付いたことを元に選手たちを指導することもある。高校で野球をした経験を一生の財産にしてほしいです」

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